エンタープライズプロジェクト管理とは何でしょうか?
大規模な企業では一般的に、複数の複雑なプロジェクトが同時に進められています。これらのプロジェクトは必ずしも相互関係があるようには見えませんが、すべて同じ企業に影響を与えるという点で関連しています。ここでエンタープライズプロジェクト管理が必要になるのです。企業プロジェクト管理 (EPM) は、企業全体におけるプロジェクト管理の手法を指しています。この手法には通常、このように大きな規模でプロジェクト管理の効果を合理化し有効性を高めることを目的とする、さまざまな戦略およびプロセスの実行が含まれます。プロジェクトマネジメント協会 (PMI) によると、これらの施策には以下が含まれています。
- 複数のプロジェクトを統合し、可視性を高め、組織をまたいだ追跡を可能にするプロジェクト管理ソフトウェアを利用する
- プロジェクト管理部門を創設する
- プロジェクト管理能力を向上させるために「成長段階」モデルを利用する
ワークマネージメントを組織全体に
企業プロジェクト管理の特性とは何でしょうか?
従来のプロジェクト管理手法では、定められた計測可能な目標に基づいて、特定のプロジェクトの開始から完了までに焦点を当てていきます。
エンタープライズプロジェクト管理では企業に焦点を当て、その事業目標を最優先・強調し、プロジェクトをグループ化して管理し、それらのプロジェクトがより広範な組織の目標を満たしていることを確認します。
最終的な目標は、必ずしも特定のプロジェクトを成功させることではありません。組織に対して効果的に価値をもたらすプロジェクトが最終目標となります。
エンタープライズプロジェクト管理におけるメリット
先進国のGDPのおよそ25パーセントがプロジェクトによって、またプロジェクトを通して消費されているという事実に対し、PMIは、組織内におけるプロジェクト間の調整不備を理由に挙げ、重複、無駄な労力の投入や機会の逸失、一貫性のない意思決定やその他の障害につながっていると指摘しています。企業の成功には、すべてのプロジェクトにおいて最も重要な事業目標に戦略的に焦点が当てられていることを、組織とプロジェクトマネージャ―が確認しなければなりません。ビラノバ大学の説明によると、EPMの手法では「プロジェクトが競合したり取り組みが重複しているケースを特定し、組織にとってチャンスとなる可能性を持ちながら資金が不足しているプロジェクトを認識する」ことが可能です。同大学は、EPMシステムの採用によって組織の収益を20パーセント増加する可能性があると説明しています。
PMIでは、エンタープライズプロジェクト管理におけるその他の利点を概説しており、以下のような例を挙げています。
- より質の高いアウトプット
- 生産性の向上
- スキル不足による影響の軽減
- プロジェクトのリスク軽減
- 納入における信頼性の向上
エンタープライズプロジェクト管理の採用
エンタープライズプロジェクト管理は組織の中核的なミッションと戦略的目標に焦点を当てており、EPMシステムの実装は会社の既存プロジェクトとその組織文化の徹底的な洗い出しから始まります。つまりEPMには、変化に対する適応性と開放性が必要なのです。
最終的な目標は、完全な透明性の確保、幅広い参画、プロジェクトの可視性向上、および監視の強化であり、ステークホルダーの関与は不可欠です。取締役を含めた全員が参加し、目標および目標達成に対する取り組みを一致させるために、高レベルでのコミュニケーションは不可欠です。